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新米冒険者のエルフ

居なくなった冒険者と禁断の洞窟|美少女エルフ、触手陵辱[02]


 

好奇心はエルフも殺す。

聡明なエルフでさえ好奇心という悪魔は甘くささやき、その行動が過剰になると身を滅ぼすという教えだ。
が、このことわざは一部でこんなたとえにも使われた。

即ち——「世の中にいるエルフが、全員賢いとは限らない」。

数時間前まで、新米冒険者のリリィは触手に襲われるなど想像できなかった。
彼女はどちらかと言えば——聡明とは言えないタイプのエルフだったのだ。

「禁断の洞窟」の話を聞いたのは、リリィが小さな村を訪れて数日後のこと。
村に一軒しかない宿屋兼酒場に宿をとり、ささやかな夕食をとっていたときだ。
なんでも、自分より前に訪れていたらしい冒険者が一人、いなくなったらしい。

地元の職人衆だろう。酒場の片隅が定位置なのか、集まって酒を飲みながら話をしている。
禁断の洞窟に入った冒険者がまだ帰ってこない。捜索隊を出そうにも次の犠牲者が出るのがオチだ、お上にまた陳情して何とかしてもらうほかない、と。

(こんな小さな村にも、そんな危険な場所があるなんて)

食堂のカウンターに座った小柄な少女のヒトより突き出た長い耳は、そんな噂話に食いついた。
ウサギの耳とまではいかないものの、エルフの耳は隅の会話を聞き取ろうとぴくぴくと動く。

(里と、そんなに違わない村なのになぁ……)

故郷を出てからまだしばらくしかたっていないが、無知なエルフの少女を驚かせるには世界は広かった。
ヒトの町は自分の種族のものと違い数多く、世界全域にまたがって、大きな城下町から小さな村まで色々な生活がある。

(洞窟で行方不明なんて、本の中の世界みたい……っ)

職人衆の話は、何もしてくれないお上への愚痴で埋まってきた。
これで何度目だ。こんな村はどうでもいいというのか、と。

少女がスプーンにのせたジャガイモが、ポロリとカウンターに落ちた。
聞き耳をたてるのに夢中になりすぎて、モゴモゴと咀嚼するのもままならない。

(気になる……)

世界とは、伝承や本でしかみたことがない、危険と冒険に満ちあふれているらしい。
サラダをとろうとして、フォークは何もない皿にカツン、とあたった。

そんな様子を見かねたのか、備品が傷つくのが嫌だったのか。

「お前さんみたいな若いお嬢さんが行くところじゃねぇよ」

カウンターでグラスを磨いていたと思った主人が、興味新々といった感じで聞き耳をたてるリリィにボソリと忠告した。
それを聞いて、「おっとりしているね」と子どもの時から言われ続けたリリィもムッとする。

「おじさん、私はただの旅行客じゃありません! 冒険者です!」

なりたてですけど、とは、さすがのリリィも口の中でモゴモゴかみ殺した。
宿屋の主人は片眉だけぴくりと持ち上げ、いぶかしげに若い客人の風貌を見る。
ピンとのびたエルフ特有の耳に、緑の柔らかそうな髪。
すべすべとした肌に、小柄な身体。
あどけなさが残る表情。
それから――机のうえにこぼれた、とっておきのシチューの具。

「……」

疑わしげな主人の表情に、リリィはさらにムッとする。
確かに、高齢でも若い姿で生きるエルフとはいえ、リリィは姿形と実年齢に大差がない。
人間である宿屋の主人よりもずっと年下だ。主人の子どもと言っても変わらない年齢差だろう。
だからといって、「人間」に侮られるのはエルフの沽券にかかわる。

「それに、魔法だって使えます!」

その物言いこそ子どもっぽかったが。

「そうかい。まぁ、あんた……」

一瞬、主人は「本物なのか?」という表情をうかべ。
その特徴的な耳に視線をむけて。

「エルフだもんな」

と、ボソボソ、と返した。

「そうですよ! えへん」

それでもまだ疑わしげな視線をむけていた主人は、「せいぜい次の犠牲者にならないようにしてくれよ」とだけ言って、カウンターの奥にひっこんだ。

「禁断の、洞窟……」

この村には捜索隊を組織するような力はないらしい。
まだ職人衆はボソボソと話を交わしているが、村の者には絶対近づけさせないように言うしかないだろう、という内容で終始していた。

「何が、あったんだろう……」

洞窟に入って、帰ってこなかったという冒険者。
気にするなというほうが無理な話だ。

「行って、みようかな」

冒険者になりたてのリリィは、エルフの里を出てまだいくらもたっていない。
魔法も治癒魔法くらいしか使えないごく平凡なエルフだったリリィは、伝承にあるような冒険がしてみたい――そんな幼い頃のあこがれのまま、里を飛び出すように出てきたのだ。
本来なら、経験の浅い状態でうかつに首を突っ込むような内容ではなかった。
だが、そこは夢見るままに里を飛び出すようなリリィのこと――

「ちょっとだけなら、いいよね」

その「少し」がその後の運命を左右するなど、エルフの少女はこのとき知るよしもなかった。

 

[挿絵] 素材制作:サークルT.O.P.

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